総額30億円の資金調達に成功! データ解析ツールをグローバル展開する Ptmindチーム力の秘訣(前編)
次世代アクセス解析ツールデータ解析ツール (前編)「Ptengine」、データ統合プラットフォーム「Datadeck」を開発・提供する株式会社Ptmind。中国の北京で誕生し、日本と中国に2つの拠点を構え、現在はシアトルにも拠点を築き、グローバル展開を行っています。ユーザー数は世界130,000人以上にのぼり、さまざまな業種・規模の企業がPtengineを採用しているとのこと。2016年には、スバルでの活用方法が評価され、中国最大級のマーケティングイベント「MEXPO」で銀賞を受賞。何より特筆すべき点は、BtoBのプロダクトでありながら、「知人からの紹介」で知るユーザーが6割以上を占め、熱烈なファンのSNSの口コミでサービスが広がっているという点です。株式会社Ptmindの創業者で代表取締役CEOである鄭遠氏、共同創業者の安藤高志氏にPtengineが人々から選ばれる理由、組織運営で強みを発揮できる秘訣についてお聞きしました。
鄭さんが大学時代に2010年に会社を立ち上げようと思った理由は何ですか。
数年でスケールしてエグジットするのではなく、継続的に社会にバリューを生み出し続けるようなサービスを提供したいと考えていたからです。となると、業界のトレンドがウェブサイト、モバイル、IoTなどと変遷しても必要となる土台となる分野、かつ一番効率性のある分野で起業をしたほうがいい。そこで着目したのが「データ解析」でした。また、データビジネスはボーダーレスで、どの国でも共通したニーズが見込めます。そのため、最初からグローバル展開を念頭に置いていました。中国は開発に適したメンバーを集めやすいこともあり、開発拠点を中国に置きつつも、最初の市場として日本を選びました。日本人はハイクオリティなプロダクトを求めるので、そこで成功を収めれば、その知見をもとに他国でも展開しやすいと考えたのです。
データ解析ツールPtengineのビジネスの特徴は何でしょうか。
データ解析を初心者でもすぐに理解し、意思決定に役立てられるようにサポートする点です。例えば、撮影も一眼レフを使いこなすのは技術が必要ですが、デジカメ、そしてスマホの写メならば、誰でも簡単にできますよね。こういう流れをデータ解析にもつくっていきたいと考えています。具体的には、ユーザーのサイト内での行動をヒートマップ機能によって見える化することで、データ分析や統計の専門知識がなくても収益性向上につながるデータの意味を理解することができます。そして、ECサイトや求人情報サイト、コーポレートサイトなどのUI改善に役立ててもらっています。
現在180カ国にPtengineのユーザーがおり、BtoBのプロダクトでありながらユーザーからの口コミで伝播していると聞きました。その秘訣は何でしょうか。
ユーザーに期待以上のバリューを提供して、Win-Winの関係を築くことを第一にしているからでしょうか。私たちは、カスタマーサクセスチームを中心に、コアなファンづくりを重要視しています。ユーザーとの関係性を、まるで友人関係のようなものだととらえているのです。Ptengineを知った経緯について、ユーザーにアンケートをとったところ、「他のユーザーからの紹介」が6割程度も占めていました。コアユーザーの方々がPtengineを活用してどれだけ売上向上に効果があったのか、どんな感想をもっているかといった点を、SNS上でツイート、シェアなどをして広めてくれているんです。こちらからアウトバウンドで営業を仕掛けなくても、ユーザーがバリューに共感して熱烈なファンになってくれれば、プロダクトは自然と広がっていきます。ユーザーの良い評判があってはじめてマーケティング施策も意義がある。そう考えています。
Ptengineが提供するバリューとはどのようなものですか。
Data Democratization(データの民主化)という観点のもと、下記の図のように、「Data(データ)」「People(人々)」「Workflow(ワークフロー)」という3つの要素が重なる領域を最大化していくことです。Ptengineが他社の分析ツールと差別化している点は、「Data」と「People」の重なる部分、つまり「Easy to use(使いやすさ)」を非常に重視している点です。一方、他社のデータ解析ツールでは、機能の先端性や多彩さを謳うところが多い印象です。
なぜ「使いやすさ」にフォーカスしたのでしょうか。
変化の激しい現在においては、意思決定にかかる時間をできるだけ短縮する必要があります。そのため、サイト上のユーザーの行動傾向を確かめたいときに、マーケッターやデータサイエンティストなど、限られた専門家の分析結果を待つのではなく、誰でも簡単にデータにアクセスし、その意味を理解して、ステークホルダーにすばやく共有できることが大事になります。よって私たちはPtengineのUIを改善し、使いやすさを追求しているのです。また、「Data」と「Workflow」の重なりは、効率化できる部分なのでできるだけ自動化していく。さらには、「People」と「Workflow」の重なりの部分を高めることで、「コラボレーション」を促していく。これらを駆動させることで、Data Democratization(データの民主化)を促しています。
データ解析にとどまらず、コラボレーションを促進するツールでもあるのですね。
例えば、Eコマースを手掛けるあるクライアント企業では、マーケッターよりもWebデザイナーのほうが頻繁にPtengineを利用しています。その企業はWebサイトの改修頻度が高いこともあって、デザイナーが主体的に「こんなふうに改修すればコンバージョン率が上がるのではないか」といった仮説を立てる必要があるためです。Ptengine活用により、マーケッターとの議論もより充実したものになり、成果が出るようになったといいます。Ptengineは「チームの力を引き出すツール」といえます。
(後編に続く)