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総額30億円の資金調達に成功!データ解析ツールをグローバル展開する Ptmindチーム力の秘訣(後編)

次世代アクセス解析ツールデータ解析ツール (後編)「Ptengine」、データ統合プラットフォーム「DataDeck」を開発・提供する株式会社Ptmind。中国の北京で誕生し、日本と中国に2つの拠点を構え、現在はシアトルにも拠点を築き、グローバル展開を行っています。ユーザー数は世界130,000人以上にのぼり、さまざまな業種・規模の企業がPtengineを採用しているとのこと。2016年には、スバルでの活用方法が評価され、中国最大級のマーケティングイベント「MEXPO」で銀賞を受賞。何より特筆すべき点は、BtoBのプロダクトでありながら、「知人からの紹介」で知るユーザーが6割以上を占め、熱烈なファンのSNSの口コミでサービスが広がっているという点です。株式会社Ptmindの創業者で代表取締役CEOである鄭遠氏、そして共同創業者の一人の安藤高志氏にPtengineが人々から選ばれる理由、組織運営で強みを発揮できる秘訣についてお聞きしました。  (前編はこちら

Ptmindは中国に主に開発チーム、日本ではカスタマーサクセスを担うチームというように、拠点が2つ分かれているなど、組織としても独自性があると感じました。組織運営で工夫している点はありますか。

グローバル展開をめざすなら、さまざまな考えをもった多様な人材で構成された組織が理想的だと考えており、現在、11カ国のメンバーがPtmindに参画しています。組織運営では、メンバーそれぞれが自律して自由に働き、生産性を上げてほしい。そんな思いから、フレックスタイム制やリモートワークなど柔軟なワークスタイルを取り入れていますし、ボトムアップで意思決定されていくフラットな組織をめざしています。また、職場も自分たちでバーカウンターをつくったり、壁紙を貼ったりして、自分たちが居心地よく過ごせる環境を手づくりしていってるんですよ。最近は日本の拠点に、リラックスできる音楽を流す場所と、集中モードに入れる場所の両方をつくったら、前者にばかり人が集まっているんですが(笑)

職場をDIYって素敵ですね。採用で重視している点も教えてください。

採用時に大事にしているのは、入社時のスキルの高さよりも、マインドセットが似ていること。そしてカルチャーフィットができ、成長の幅が大きいということです。「データ解析に関する知識がなくてもデータを簡単に活用、共有できる世界をつくり、組織の意思決定のスピードや精度向上に寄与したい」。こうしたPtmindのミッションに共感でき、一般ユーザーの目線で考えられる仲間を増やすことを大事にしています。  

主に中国と日本で拠点が分かれていることにより、お二人がマネジメントで苦労していることはありますか。

Ptmindでは、経営層が主に日本、中国のマーケットの違いを理解したうえで、ベストな方向性を探し出すことが、一般的な企業以上に求められます。例えば日本だと代理店というチャネルを活用してサービスを拡散することが多いのに対し、中国では、トップに近い意思決定者に直接営業していくことが求められるというように、ビジネス慣習は違います。よって、Ptmindでは、製品戦略はグローバル共通で行い、営業戦略は国・地域のビジネスの慣習に応じてローカライズしていくという方針をとっています。マネジメントにおいては、こうした基本的な状況を理解したうえで、各市場の情勢を常にアップデートできるかどうかが問われます。また、異なる拠点のメンバーがうまく協働して働ける仕組みをつくることも、マネジメントで大事なテーマですね。今はシアトルにも拠点ができましたし、社員のダイバーシティも高まっているため、なおさらチャレンジングな試みだと思っています。ですが、経営層が率先して「オープンマインド」を実践することで、こうした課題はクリアできると考えています。あとは、Slackやオンライン会議ツールなどを通じて、情報共有、意見交換の機会はしっかりとり、リアルで対話する場面では互いのキャラクターなどを理解できる時間を多くとるようにしています。 

こうしたマネジメント上の工夫が、Ptmind全体の一体感やチーム力の醸成につながっているのですね。

あとは、日本で採用したメンバーには、最初に中国のオフィスで働いてもらっています。中国でのビジネスを進める速さを体感してもらうことで、日本に戻ってからもスピード感をもって働けるようになるからです。そのほか、出張の機会を増やして、複数拠点という環境のメリットを最大化することをめざしています。 

これまでに総額30億円の資金調達に成功されています。自社の成長を加速させるため、VCを選ぶ際に意識していることはありますか。

VCを選ぶ際は、VCの資本力よりも、自分たちの世界観を共有できるかどうかを大事にしています。例えば、グローバル意識が強いかどうか、データと人工知能の分野への理解が深いかどうか、自分たちのめざす方向性を尊重してくれるか、といった点を重視しています。だからこそ、採用と同じくらい投資家との考え方の整合性をじっくり見ています。 

今後のビジョンを教えてください。

現在、ユーザーは180カ国に及んでいます。中でも日本、中国、そしてアメリカという3つのマーケットを攻めればグローバル展開が進みやすいと見ています。そこで、各市場での成功事例などの情報交換をいっそう密に行い、三拠点のメンバー間の流動性も活発にしていきたいと考えています。私たちが大事にしているのは、「Day1に戻る」という精神。現状に満足せず、常に新たなチャレンジをしていきたいですね。