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芸術とテクノロジー、横断的な視点で不動産投資の常識を変えるパイオニア(前編)

今回インタビューさせていただくのは、不動産投資テックのベンチャーであるリーウェイズのCTOを務める大塚一輝さん。学生時代は芸術上の問題を情報テクノロジーで解くことをテーマにフランスでアルゴリズムによる調性以降の作曲理論について研究、その後多数のシステム開発や事業立ち上げに関わってこられました。2015年、リーウェイズ株式会社にCTOとして参画し、次世代不動産投資プラットフォーム「Gate.」を開発。そんな異色のキャリアを持つ大塚さんに、不動産投資×テクノロジーにどんな可能性があるのか、学際的なバックグラウンドが仕事や研究にどう活きているかといった点をテーマにお話を伺いました。

不動産投資の世界は、テクノロジーの発展によって、今後どのように変わっていくとお考えですか?

不動産はテクノロジーの応用分野として多くの側面を含んでいるので活発に研究が進み、企業間のデータ共有が進むことにより機械が計算した答えを中心に人間が意思決定する世界に向かっていくと思います。イアン・エアーズの言うところの絶対計算(※)が専門家の経験による判断を超える世界観のような。

(※絶対計算:現実のデータと主に回帰分析やニューラルネットワークとによって統計的に起こるべき結果を導き出す計算のこと。)

そうなると人間の担ってきた業務も一変しますよね。

よく人間の仕事を機械が奪う、という議論がありますよね。たとえ99%の意思決定を機械が行うようになっても最後の1%はやはり人間が判断したいし、その仕事はなくならないはず。生きるか死ぬかという手術で最後に選択肢AとBが問われたら、その判断まで機械に任せるのは嫌じゃないですか。人間である医者に決めてほしい人は思う。運転が自動化しても手動で操作できる余地はきっとなくならない。あくまで人間と機械の役割が変わるということであって、椅子とりゲームではない。だから人と機械の関わりを人間は再び真面目に考える必要がでてきた。それは人間とは何かを考えることでもあると思います。

リーウェイズの事業内容と、特徴を教えてください。

一言で言うと不動産投資における利回りに対する常識を変えること。多くの不動産テックと呼ばれるサービスは価格推計を中心に置いていて、利便性に殆どの意味がありますが我々はやり方そのものを変えようとしています。より具体的には、不動産を比較するために中心的な指標として存在し続け利用されてきた「表面利回り」を、データ分析によってはじめて算出が可能になる「全期間利回り」に置き換えようとしています。これによって不動産投資家はよりフェアな意思決定ができる。この利回りで不動産を比較するのを当たり前の世の中にすることを目指しています。それは長期的に見て不動産投資家だけでなく、不動産業者、マーケット全体に利益をもたらす。

不動産投資のプラットフォーム「Gate.」はどのようなプラットフォームなのでしょうか?

収益不動産の比較において、収益性を比較するための情報にはこれまで営業側の恣意的な介入が少なからずありました。特に表面利回りという不動産投資の中心的指標は空室を無視して賃料を変化させればインカムが増えるのでいかようにも操作できます。それに対しGate.は過去の大量の取引データから回帰分析をして得られる将来の賃料下落や空室率などを元に将来キャッシュフローを導きだし、より現実に近い利回り「全期間利回り」をもとに物件を比較できます。さらに将来の投資結果をシミュレーション、直感的なグラフで確認できます。リーウェイズは本来的に不動産投資の専門家集団なので専門家の知見が存分に取り込まれています。

「Gate.」を開発しようと思った背景、課題意識は何でしたか?

人々の価値観が変わる可能性に興味があります。それまでのやり方は明らかにエラーを生みやすく、テクノロジーによってその意思決定をもっと正確に安全にフェアにできる。不動産は魔物で、そこに全資産を集中させてしまうような人がざらにいる。にもかかわらず情報が少ないことで騙されたり失敗してしまうのは単純に不幸だし悪だと思います。

後編につづく