Wahl+Case

View Original

株とオプション – いかに「アップサイド」を計算するか

人材こそが全てです。人材の需給ギャップが広がっていることもあり、有能な人材に対する需要はより一層強まっています。Wahl & Caseでは、最もイノベーティブであり、既存の価値を打ち砕くほど革新的なテクノロジー企業の仲介役 (クライアントを片方に、私たちの優れた人材ネットワークをもう片方において)を担っています。私たちは「事業を成長させるために、ベストな人材をいかに獲得し、維持するか」という、顧客にとって重要な問題の解決に日々務めています。スタートアップの世界 (モバイル、アナリティクス、教育工学、ゲーミング、アプリ、収益化、広告技術、イーコマース、シェアエコノミー、金融テクノロジーなど) において、私たちはテクノロジーとデジタルで起きている革命の目撃者となっています。この革命を目撃するだけでも、私たちはなぜ企業が成功するか、あるいは失敗するかについての貴重な見識を得ています。これは私たちの業務に付随する(多くの)特典の一つでもあります。私たちは、主要マーケットである東京とサンフランシスコで活躍するソートリーダー (実践的先駆者)たちのプレゼンテーションやインタビューを基にした一連の記事を先駆的に作っていくこと、そして、tech系スタートアップでのリクルーティングを通して目の当たりにする見識を共有することを目的としています。私たちのゴールですか?それは、ほんの一握りの人間の手中に収まった価値ある情報を、皆さんと共有することです。私たちが共有する知識や情報が、転職の際のより良い意思決定の助けとなれれば、あるいは、新たに設立したスタートアップが断崖絶壁のような事業の成長過程を通り抜けていく助けとなれ幸いです。

株式とオプション – いかに「アップサイド」を計算するか

これはより興味深く、かつ複雑なトピックです。なぜ終身雇用を捨ててまでリスクの高いスタートアップに参加する必要があるのでしょうか?潜在的に好ましいと思われる利点はあるのでしょうか?キャンディデートがスタートアップに参加してみようと思えるような重大な情報に入ってきました。ここはリクルーターの重要性が影響してくる場面でもあるのです。しかし、このトピックに進んでいく前に、さらにキーワードと重要フレーズを見ていきます。

株式: 会社の株式価値の合計が、会社の総価値に相当します。例えば、会社が100株発行し、1株に1万ドルの価値があるとした場合、その会社の総価値は100万ドルとなります。

希薄化: 会社が新たに株式を発行すると、トータルの株式価値はさらに多くの株式数で分割される必要があります。したがって、会社の総価値が同じままだと仮定した場合、個々の株式の価値は希薄化されることになります。これは、前と比べて価値が下がるという意味です。

ストックオプション (しばしばISO、インセンティブ・ストックオプションと呼ばれます): 将来において株式を一定の価格で購入できる権利のことです。ストックオプションは先物取引に似ています。 現在における株式価格が固定され、将来における目標価格はストライクプライス (権利行使価格) と呼ばれます。例えば、会社が1年後に、1株1ドルの値段で100株を購入できるというオプションをあなたに与えるとします。その合意がなされた時の1株の現行価格は1ドルより低いかもしれないし、高いかもしれません。しかし、あなたにとって重要になるのは、1年後には1株の価値が1ドル以上になっている、ということです。そのようになった場合、あなたは会社から株式を合意価格である1株1ドルで購入し、即座に自分の株価の上昇を確認することができます。1年後に会社の株式が1株につき5ドルになったとしましょう。あなたの契約では、ストックオプションを1ドルで購入することができましたね。あなたは自分の株式を売却することができますし、さらなる株価の上昇を見込んでキープしておくこともできます。いずれにせよ、あなたは1株につき4ドル分の価値を得たことになるのです。

ベスティングピリオド (Vesting period): ストックオプションで得た株式を売却する前に会社に残留しなければならない期間というものがあります。この期間は一般的に4年間ですが、交渉することも可能です。

アップサイド: 非上場企業のストックオプションでどうやって利益を得ることができるのか、そうあなたは尋ねるかもしれません。東京株式市場、あるいはその他の株式取引所で株式を公開している企業のように、非上場企業の未公開株の株価を測定する方法は、先ほどまでに紹介した2通りの方法があります。いずれにせよ、「イグジット」する必要があります:

1) 買収によるイグジット – 別の企業があなたの会社の買収に同意することで可能になります。その企業があなたに支払う価格が、株式の価値を決定づけます。買い手は会社売却におけるあなたのシェアを手に入れる見返りとして、現金あるいは自社株(あるいはこれらを合わせたもの)をオファーします。一般的に、大企業は現金で買収する傾向にあります。

*重要なポイント – 企業買収の際に、買収する側の企業が特別な条件をつけてくることがあります。これには、会社にとって重要な従業員は辞職しない、などの内容が含まれています。そのような従業員に留まってもらえるよう説得するために、買収する側の企業は追加ボーナスの支払いをオファーすることもあります。これは「ゴールデン・ハンドカフ (特別優遇措置)」として知られています。例えば、X社がY社を買収するという時に、X社はY社に対して、営業部長が少なくとも買収以後の4年間は会社に留まれば、その部長に対して100万ドルを支払う、と伝えることもあります。

2) IPOによるイグジット– これは公募という形をとるので、株式の価格は株式取引所を通じて入手可能になります。しかし、IPO後の6か月間は、従業員が自社株を売却することはできないと規定する企業をよく見かけます。これは「ロックアウト」として知られています。なぜそのように呼ばれているのでしょうか?新しく参入してくる投資家は、投資先の会社の従業員が一斉に自社株を売却するのを見たくはないのです。上場直後に従業員が一斉に株式を売却し出すと、株式の価格を下げる後押しとなってしまいますから。IPO直後ではロックアウト期間のせいで自分の株式 (オプション) を売却できない、ということをキャンディデートは忘れていることがよくあります。彼らが株価の変動値を終始気にしているのは、このことに気づいていないからなのかもしれません。

考慮すべき重要な問題:会社が買収されたらどうなりますか?私のオプションはどうなりますか?

ストックオプション契約の一環として、あなたは「トリガー」を検討すべきです。「トリガーイベント」と呼ばれる事案が発生した時に、ストックオプションを認める手続きが加速する可能性があり、その場合、ベスティング期間が失効する前に株式を取得できるのです。あなたのストックオプションが売却可能になる前に会社が買収されたというような場合や、IPOが既に決定しているといった場合などに、これはとても便利になります。例えば、デイビッドさんがブルー社から1株につき5ドルの株式100株を4年間のベスティング期間付きで手にするとします。それから2年後にデイビッドさんの所属するブルー社はピンク社によって買収されてしまいます。デイビッドさんのストックオプションはどうなってしまうのでしょうか?トリガーなしでは、デイビッドさんのオプションが希薄化し、その価値が失われてしまう可能性があります。トリガーが有効であると、デイビッドさんは自分の持っている100株に買収の時点で何の制限もなくアクセスすることができるのです。

会社が買収された後で解雇されたらどうなるのですか?

買収後に解雇された場合、あなたは即座に自分のストックオプションの全てを受け取ることができます。これはあなたの雇用契約書にそのように記載されている場合に限ります。これは「ダブルトリガー」条項として知られています。

辞職するとしたら、私のオプションはどうなりますか?

あなたが辞職する場合、ストックオプションの権利を行使する決定を下すために60日の期間が与えられることが多いです。これはなかなかいいアイディアです。仮にあなたが自分のオプションを持って辞職するとしても、辞職するという事実に関わらず、その会社の事業に対するあなたの信頼度を示すことができます。

株式やストックオプションを所有することによる税務上の影響はありますか?

アメリカ国民であれば、株式の保有はあなたの納税義務に大きな影響を与える可能性があります。

*興味深いケーススタディ – 自分の株式やストックオプションを他方の当事者に売却することはできますか?クリス・サッカ氏はIPO前のTwitterの従業員から株式を購入したことで財産を築きました。クリスさんはTwitterの株式を購入するためのファンドを用意し、数十億ドルを手にしました。