原口さんがフロントエンドエンジニアとしてPaidyに採用されるまでのサクセスストーリー
日本における一般的なキャリアと比べると、原口さんはやや異なる道を選びました。日本での成功が約束された道ではなく、カナダへ語学留学をし 、英語環境に身を置くことを選んだのです。原口さんは高校卒業後に1年ほどバンクーバーに留学していたことがあり、帰国してからもそのときに習得した知識や経験を活かせる場所を探していました。日本での一般的なキャリアパスは下記の通りです。 1. 優れた成績で高校を卒業する 2. 優れた成績で「有名な」大学を卒業する 3. スーツを着て就職活動をし、有名な大企業に就職する日本には「頑張り屋」を称賛する文化があり、有名企業に就職できるということはつまり、長年の努力(多くの場合、幼稚園からの)がようやく認められたということなのです。そのような環境の中、原口さんはどうしてPaidyのフロントエンドエンジニアになったのでしょうか?帰国後、英語力をキープするために原口さんは「さくらハウス」という外国人向けのゲストハウスで働き始めました。そこで「さくらハウス」のウェブサイトがどれだけ集客に役立っているかを目の当たりにし、インターネットの力に感銘を受けた原口さんはコーディングを学びたいと思うようになります。その後、27歳のときに全額給付の奨学金を得て、東京工科大学に入学しました。今回のインタビューでは、彼女がエンジニアになるまでの過程と、Paidyでフロントエンドエンジニアとして働くきっかけになった出来事をご紹介します。(パート3:弊社コンサルタント金子のインタビューはこちらからご覧頂けます)
––さくらハウスで働いているときにコーディングと出会った話についてもう少し詳しく聞かせていただけますか?
さくらハウスで働いたことがきっかけとなり、コーディングに興味を持ち始めました。プログラミングの知識は全然ありませんでしたが、ずっと自分の手で何かをつくる仕事に就きたいと思っていました。私にはアーティスト的な才能はなかったので、継続して学ぶことができ、かつ論理性を求められる仕事が自分に合っているだろうと思っていました。デザイン的な仕事はピンときませんでしたが、プログラミングの「思考」部分は合うような気がしたのです。そこで大学でプログラミングを学び、これは自分に向いているという確証を得ました。あれはいい決断だったと思います。
––卒業後は何をされていたのですか?
卒業後はシステムエンジニアとして働いていましたが、その会社ではコーディングを外注していたので自分でコードを書くチャンスがありませんでした。しかしどうしてもコーディングをしたいという思いが強く、ソフトウェアを作る機会のないその会社を1年半で退職し、次の仕事を探し始めました。その会社ではUI/UX系のプロジェクトで働いていたので、フロントエンド系の仕事を探し、わりとすぐにデベロッパーの仕事を見つけることができました。
––プログラミングのブートキャンプとも呼ばれる「コードクリサリス」をどうやって知り、なぜ応募したのですか?
Yan(コードクリサリスの共同創業者 兼 CTO)にイベントで出会ったのがきっかけです。このブートキャンプに参加したおかげで、現在Paidyで働くことができています。私の人生の中でも、一番良い決断だったと言えます。フロントエンドの仕事を2年ほど続けるうちに、私はシステム全体を動かしているバックエンドにも興味が出てきました。それまでの自分の仕事はシステム全体からすると、ほんのわずかなパートでしかないということに気付いたのです。そこでサーバーサイドについても勉強をしようかと思っていた矢先、コードクリサリスに出会いました。バックエンドを重点的に教えてくれるとのことだったので、まさに私にぴったりでした。また、私はこの2年の間に転職を考え始めていて、ちょうど何か新しいことをするタイミングだと感じていました。そのような背景からコードクリサリスに応募することにしたのです。(こちらからパート1:Code Chrysalisの共同創設者且つ最高技術責任者(CTO)ヤンさんのインタビュー記事をご覧頂けます。)
“慣れない環境に慣れる”
“Being comfortable with being uncomfortable”
慣れない環境に慣れる”はコードクリサリスのモットーです。
––今までの経験を通して、コミュニケーションや共感力、自立性といったソフトスキルも鍛えられたと思いますか?
コースの初日か2日目に「成長のためのマインドセット」について話し合う機会があり、Kani(コードクリサリスの共同創業者 兼 CEO)と Yan が「慣れない環境に慣れる必要がある」という話をしてくれました。初めてそのようなフレーズを聞きましたが、とても共感できました。バックエンドについて多くを知らなかった私にとってコースの内容は難しく、毎日周りに追いつこうと必死でした。コンピューターサイエンスの学位を持っている人も多かったので、自分が落ちこぼれのように感じて落ち込むこともありましたが、そんなときこそ「慣れない環境に慣れる必要がある」という言葉を思い出して頑張りました。その結果、他の生徒よりも多くを学ぶことができたと思います。英語で技術的な会話ができるというのも良い経験でしたね。通常の日本のプログラミングスクールではなかなか無い機会でしょう。コミュニケーションをとるときは、自分の考えを整理した上で技術的な言葉を使いつつ表現しなくてはいけないので、当時の経験は今も役に立っています。コードクリサリスで鍛えたおかげで、今の会社でも同僚と英語で楽に話せていると感じます。以前は日本人らしく、まずは静かに聞き相手の考えを理解するという姿勢が染み付いていました。それが礼儀正しく、マナーが良いと思っていたのです。しかしミーティングで何度も質問を投げかけられるうちに 、私はその時のテーマについて深く考えていなかったということに気付きました。自分の考えを徹底的に深めることを求められるので最初は戸惑いましたが、今ではミーティングでも他の人がどう思うかを気にせず、自分の考えを発言できていると思います。以前はそのようなメンタリティーはありませんでした。
––よく日本人は日本を離れたがらないと言われますが、原口さんが海外へ英語を勉強しに行くことにしたきっかけは何だったのでしょうか?
子供のときから外国や海外の文化が好きで、外国の人が何を考えているのか、どのような価値観なのか、何が「良い」「価値がある」と見なされるのか、何が日本と違うのか、といった事に興味がありました。英語の発音も好きで、とても美しい言語だと思っています。基本的な英語は日本で学びましたが、好きだったからこそ続けられたのだと思います。それはプログラミングも同じですね。プログラミングはクリエイティビティとロジカル思考が良い割合で求められると思います。問題を見つけてそれを解決するのは気分がいいことですし、何より楽しいです。また他の人が理解できるような美しいコードを書くことも大事です。コードを書く方法はたくさんあり、そこに絶対的な正解はありませんが、限られた時間の中でチームメンバーと協力しつつ結果を出す必要があります。コードとはクリエイティビティとコミュニケーションで構成された生き物のようなものだと私は思います。決して終わりがなく、いつもより良いコードを作りたくなります。
––コードクリサリスでの最も思い出深い経験は何ですか?
楽天airmapのAPIとコラボしたチームプロジェクトですね。コースの最後のプロジェクトで、全生徒で取り組みました。1週間しかなかったのですが、新しいことにトライしてみようと、私はバックエンドを、逆に普段バックエンドをしている他の生徒はフロントエンドを担当しました。スケジュールがギリギリだったこともあって、お互いを助け合い、1つのタスクに取り組むことはとても楽しかったです。あのチームワークは今でも恋しくなりますね。
––転職エージェントを使うのは初めてだったそうですが、いかがでしたか?
とても心強かったです。金子さん(詳しくはパート3を参照)に、インターナショナルで強い開発チームでフロントエンドエンジニアとして働きたい、かつ将来バックエンドにも携わりたいのでチャンスのありそうな小さい会社がいい、と伝えました。金子さんは私の要望を完璧に理解してくれ、紹介してくれた企業は全て私の希望通りでした。彼女との意思疎通がうまくできていたのだと思います。
––Paidyのフロントエンドエンジニアのポジションはシニアレベル向けだったそうですが、Paidyのチームはよりやる気のある人を求めていました。この点に対して原口さんはどう見ていたのでしょうか?
私も金子さんも、Paidyがこのポジションには自分よりシニアなエンジニアを求めていることは分かっていました。そんな時に金子さんにPaidyがGitHub上に面白い課題を載せていると教えてもらったので、その課題に取り組み提出してみたところ、なんと面接の機会を得たのです。まさか面接に進めるとは思っていなかったので、何事も挑戦してみるべきだと痛感しました。
––海外のトップタレントと一緒に働き、「成長のためのマインドセット」を身に付けたいと考えている日本のエンジニアにどのようなアドバイスをしますか?
自分がグローバルな環境で通用するのか不安な人が多いと思いますが、そういう人にはコードクリサリスをお薦めします。リスクを恐れずに新しいことに挑戦することは、未来への大きな投資となります。逆に同じところに居座って自分の可能性を諦めるのは、長い目で見た時にリスクとなり得るのです。そのまま何もしなければ行き詰まるだけです。だから興味があるならまずは挑戦してみてと伝えたいですね。結果がどうなろうと、後悔することはないでしょうから。
––PaidyがシリーズCの資金調達を完了!
Paidyは最近5500万ドルの資金調達に成功したと発表しました。東京を拠点としたFin-Techスタートアップのさらなる成長に期待が寄せられています。(Paidyについて詳しく知りたい方はシリーズ、パート2「創造性(Creativity)」と「チームワーク(Collaboration)」を成長の鍵とするPaidyをご覧ください。)