「すべての人を投資家に」トラノテック株式会社 代表取締役社長 ジャスティン・バロック氏との対談(前編)

「自身の経験不足とリスク回避の理由から、私は投資を常に敬遠してきました。ギャンブルの存在に近いものからどのようにして利益を生み出すことができるのでしょうか?」

トラノテック株式会社の代表取締役社長であるジャスティン・バロック氏にはこのような懸念に対する解決策があります。セブン銀行・Nanaco・みずほ銀行・楽天銀行などとサービスを提携している同社の代表的な資産形成サービスアプリ「トラノコ」を通じて、彼は人々の投資に対する苦手意識を取り除くことを目指しています。

トラノコの提供する解決策と、それが日本の投資家への教育にどのように役立つのかを知るため、バロック氏に話を伺いました。前編では、会社の成り立ちや日本での投資について話し、「トラノコ」について深く掘り下げていきます。

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ジャスティン・
バロック

トラノテック株式会社
代表取締役社長

 

トラノテックのビジョンとは?

弊社のビジョンは、この国で次世代の資産運用サービス利用者を育成することです。全ての人が投資家になることができます。弊社では日本人誰もが踏み出せる投資世界への「スタート地点」を提供したいと考えていて、出来る限りそのハードルを低くしました。弊社のサービスを使えば、なんとたったの5円から投資を始められるのです。弊社のお客様の半数以上が20代、30代の方々で、40代を含めると全体の85%近くにもなります。長寿化が進む日本では、定年後どのように快適に過ごせるか頻繁に議論されています。弊社のサービスによってポジティブな投資文化が根付いてくれることを期待しています。誰しもが資産形成を始める機会を与えられることが大切です。そしてこの概念が、弊社が完全子会社の資産運用会社を通して提供している投資サービス「トラノコ」を開発したキッカケなのです。

 

投資という概念を、どのように人々に浸透させるのですか?

日本ではリトル・バイ・リトル(少しずつ)という概念が好まれ、節約の文化が根付いています。弊社はその概念を少額からコツコツと投資ができる形に発展させたいと考えました。既存のビジネスモデルではその実現が難しいと分かっていたため、人々の日々の生活に投資が結びつく方法(有名なブランド・小売店・ポイントカード・航空会社・動画配信サービスなどとの提携)を採用しました。トラノコは、金融機関も含めたほぼ全てのサービスや普段の消費活動との提携に対応できるよう設計されています。

ここまで多様性を広げることができたのは、各提携企業が顧客にトラノコサービスを紹介しやすいようにそのハードルを出来る限り低くしたからでしょう。誰にとっても始めやすいのです。

 

なぜ日本でトラノテックを起業したのでしょうか?

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特にリテール金融事業の分野や外国人にとって、日本はどのようなビジネスを始めるにしても競争が激しく、難しい場所であると言っていいでしょう。そうとは言いつつも、市場規模の大きさ、スマートフォンの浸透、ポイントを活用した経済活動の普及などの要因から、日本はまたとないビジネスチャンスの場でもあるのです。

日本には、質の高いリテール金融事業を長いこと提供している証券会社や銀行が数多く存在します。しかしそのような企業で資産運用をするハードルはとても高いので、初心者にとっても始めやすいサービスを生み出すチャンスだったのです。また日本では、他国の人々に比べると投資のことを深く考える機会があまり多くないので、金融リテラシーや投資意識の向上を支援する良い機会になると考えました。

さらに、ポイント制と投資を結びつけることができるユニークなチャンスもあることから、トラノコを始めるには日本が最適な場所だと確信したのです。

 

トラノコについて

Toranoko App © Toranotec Ltd.

Toranoko App © Toranotec Ltd.

「トラノコ」は、クレジットカードやポイントカード・提携家計簿アプリなど日常生活で発生する買い物金額の端数「おつり」を計算し、毎月その合計が自動的に投資されます。

さらにnanacoポイントやANAマイレージプログラムなどのポイント連携を行い、希望のポイント数を投資に回すことも可能です。ここで重要なのは、このポイントが「トラノコファンド」に回るとき、ポイントは必ず現金化されてから投資されるということです。このように継続的にコツコツと積み立てていくことで、利用者は自然と投資を日常生活の一部として利用することが出来るのです。

また、ほぼ全ての金融機関に対応しているので、銀行口座を新たに開設する必要がないことも「トラノコ」の強みです。他の証券会社や資産管理会社に口座をお持ちの方でも、並行して「トラノコ」をご利用頂けます。

弊社はみずほ銀行、楽天銀行、セブン銀行等と提携していますが、それらの金融企業様との連携を持って初めてその魅力が最大限に発揮されると思っています。実際に提携企業様からそのお客様へも「トラノコ」を勧めて頂いております。

 

トラノコの3種類の投資レベルについて

弊社では3種類のファンドをご用意しています。

  • 安定重視の小トラ(ローリスク)

  • バランス重視の中トラ(ミドルリスク)

  • リターン重視の大トラ(ハイリスク)

お好みのリスク許容度に応じて、3つの中から1つを選ぶことができます。サービス利用への第一歩を簡単にすることを重要視しているので、3種類に限定することで利用者の投資へのハードルを下げました。

 
トラノコファンドパーフォマンス2019年 © Toranotec Ltd.

トラノコファンドパーフォマンス2019年 © Toranotec Ltd.

 
 

どうして「トラノコ」という名前にしたのですか?

まずロゴのデザイン作成から始まり、その後トラノコという名前に決まりました。ブランディングからもお分かり頂けると思いますが、少し遊び心のあるものにしています。虎のデザインを多用してはいますが、同時にお客様の資産管理に真剣に取り組んでいます。弊社の資産運用チームのメンバーは皆、経験豊富でプロフェッショナルです。

ブランディングやアクセスポイントは、魅力的なものにしたいと考えていました。「トラノコ」とは、大切にして手放さないものという話で昔から伝わる寓話「虎の子」が由来しています。

弊社のお客様にも資産を同じように大切にしてもらいたいという思いから社名も「Toranotec(トラノテック)」に決めました。

 

費用は一人当たりどのくらいかかりますか?

トラノコアプリの使用には、300円(税込)の月額利用料とトラノコファンド内での0.3%(税抜)の運用報酬を設定しています。日本の資産運用会社で月額制利用料を採用している企業は他になかったので、弊社が提供したいと思っていたこの新サービスは金融業界での挑戦でもあり、革新的なものでした。これはトラノコアプリでできることの利用価値を表す明確な料金構造になっています。既存の投資サービスで弊社のような費用体系を採用しているところは数多くありませんが、このおかげでトラノコは様々な企業との業務提携が実現できています。

これまでのビジネス拡大の中で私が一番感銘を受けていることは、業務提携の機会に多く恵まれてきたことです。その中には、セブン銀行やNanaco、楽天、みずほ、ANAなどの大手企業を始め、エンタメやライフスタイルのサービスまで、様々な経済・サービス分野のパートナーが含まれています。

Toranotec Office Entrance.jpg
 

費用対効果を得るには、どのくらいの金額を投資すれば良いですか?

少額であってもコツコツと投資すればするほどその費用対効果は高くなるので、お客様の無理のない範囲で投資は続けるべきです。単発の一括投資をするよりも、弊社の目標は長期的に、コンスタントに毎月投資をする文化を根付かせることです。

弊社では月300円の月額使用料を、いわゆる光熱費のようなものと捉えてもらいたいと思っています。その300円で、柔軟性のあるプロフェッショナルな投資サービスが利用できるのですから。 現金・ポイント・マイルで投資ができ、その他多くの機能が利用でき、さらにトラノコポイント(トラノテック株式会社が運営するポイント)を貯めて投資をすることもできます。

 

最近では企業と提携して、従業員の福利厚生ツールとして「トラノコ」を提供するようになったそうですね。そのことについて、教えてください。

弊社が新たに取り組んでいるサービスで、福利厚生の一環として従業員の皆様を支援します。日本では正社員/契約社員/パートと雇用形態によって収入の格差が発生してしまうため、ファイナンシャル・ウェルネス(「金融の健康度」のこと。自身の経済的な安定性と言い換えることができる。)は重要な課題であり、雇用形態や契約内容によっては、特定の年金制度の適用権利が異なる場合があります。弊社のサービスは、福利厚生として気軽に従業員の皆様に提供いただけます。唯一の違いは、固定月額利用料分を従業員自身が支払うのではなく、企業が負担するということで、それ以外は全く同じサービスです。多くの従業員は、レストランやホテル、あるいは健康・フィットネス等の福利厚生サービスに馴染みがあると思います。もちろんこれらのサービスにも価値がありますが、ファイナンシャル・ウェルネスには将来性があり、長期的に有益なものであると私は考えています。

(後編につづく)

 
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Bryan Rios

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マーケティングスペシャリスト

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