「うま味」の概念を仕事に生かす Wahl & Case

Wahl & Caseコンサルタント金子野花

Wahl & Caseコンサルタント金子野花

「うま味」は食べ物をこよなく愛する化学者・池田菊苗博士により名付けられた日本語です。この特別な「おいしい味」「香り」は、料理と化学それぞれの分野で第5の味覚として受け入れられてきました。しかし、「うま味」は必ずしも料理の世界だけで語られる言葉ではないのです。私たちWahl & Caseでは、「うま味」の概念を仕事にも生かします。私たちはリクルーティングコンサルタントとして、求職者たちがハングリーに働いていけるような仕事を紹介します。 日本に住むエンジニアの原口久美子さんは、自分のキャリアを向上させることは可能であり、もっと学び更に成長したいと考えていました。今回の第三弾では彼女がPaidy(東京を拠点に急成長しているオンライン決済のスタートアップ企業)で、フロントエンドエンジニアとして働くに至った背景について紹介します。それに際し、Wahl & Caseのコンサルタントであり、原口さんがPaidyに入社するまでの転職のサポートを行ってきた金子野花さんから詳しくお話を伺いました。第一弾では、Code Chrysalisの共同創設者 兼 最高技術責任者(CTO)であるYan Fan(ヤン・ファン)さんの視点から見た、原口さんのサクセスストーリーを 、第二弾ではPaidy Inc.の開発本部長である和泉健さんの視点からお話を伺いました。本シリーズ最終盤では、原口さん自身に、エンジニアとして活躍してきた今までの過程を話して頂きます。お楽しみに!(和泉健さんのインタビューを特集したブログ第二弾はこちらをご覧ください。) 

―――原口さんは今年3月初めにPaidyに入社しました。彼女は自分の新しい仕事についてどう思っているのでしょうか?

原口さんは、Paidyをとても気に入ってくれています。職場の環境は、彼女が今まで慣れ親しんだ伝統的でドメスティックな日本企業とは大きく異なります。Paidyは働く時間も実に柔軟ですし、オフィス外の場所で働くことのできる日もあります。残業はできるだけしないよう推奨されていて、基本的に皆6時か7時には退社します。原口さんは、このような変化をとても気に入っているようです。 

―――原口さんは、大手のイーコマース企業からも内定をもらっていたようですね。何が決め手となってPaidyの入社を決めたのでしょうか?

彼女は、本当に才能ある人たちと働くことを強く望んでいました。多くのことを学ぶ機会がある会社で、すばらしい同僚と一緒に働きたいと思っていました。給与額はあまり重要ではなかったのです。もちろん給料が高いに越したことはありませんが、彼女にとって優先順位はあまり高くありませんでした。才能ある人たち、そして学ぶ機会、その二つだけが原口さんの求める条件でした。私は最初から原口さんに彼女の仕事は大変になるだろう、と伝えてきました。Paidyが当初探していたのは、チームリーダーの助けが無くても独力で仕事を進めることのできるシニアレベルのエンジニアでした。原口さんはわずか2年程の経験しかなく、Paidyが求めていた人材としては経験が浅かったのです。しかし原口さんは躊躇することなく、挑戦してみたいと言いました。そこで私は彼女をサポートすることにし、最終的にオファーをもらうことができたのです。Paidyは技術的なスキルという面でとても高いレベルを維持している会社ですので、私は原口さんの雇用は素晴らしいことだと思っています。Paidyは、経験の浅い候補者にはあまり関心を示しません。Paidyで働く全てのエンジニアは人の助けを必要とすることなく働くことができる本当にレベルの高い人たちなのです。(原口さんがどれほど優秀な存在だったかについては、本シリーズ第二弾をご覧ください。)私は、原口さんにPaidyのチームリーダーのプロフィールを見せ、彼の今までの経歴と彼女が彼のチームに入ることで得られるであろう経験を説明しました。また、才能あるチームメンバーと働くことができること、少人数のチームのためリーダーが直接指導してくれるというあまりない機会を得られる利点についても話しました。私は、これは双方にとって完璧なマッチングになるだろうと確信しました。同時に、私としては彼女に偏ったアドバイスをしたくなかったので、他の会社からもらっていたオファーを含め、しっかり考えてほしいと伝えました。そして、私は彼女と一緒に、Paidyに入社した場合のメリットとデメリットの整理もしました。ただ、彼女がPaidyを気に入っていて、Paidyも 彼女を気に入っていた。であれば、彼女がPaidyに入社する以外の選択肢はないだろう、という話です。 

―――原口さんはジュニアレベルのエンジニアだったにも関わらずPaidyがそれを気にしなかったのは彼女のどのような点に惹かれたからなのでしょうか? 日本人(特に女性)には珍しい、彼女の積極的で自信に満ちた態度でしょうか?

全くその通りです。彼女は素晴らしい人です。原口さんは、自分が望むものを実際に追い求めることのできる人だと思います。 

―――ソフトスキルが大事だということも忘れてはいけませんね。たくさんの知識を持ったエンジニアであっても、自分の考えをきちんと伝える事やチームワークが苦手な人は、いずれつまずいてしまいます。ご存知かと思いますが、彼女はPaidyに入社する前に、Code Chrysalisでのコーディング上級訓練プログラムを終えています。Code Chrysalisがそのカリキュラムで強調する4つのスキルは、CATE(Communication=コミュニケーション、Autonomy=自主性、Technical=テクニカルスキル、Empathy=共感)です。彼らが言うには、成功しているソフトウェアエンジニアは、これら4つのスキルを兼ね備えているそうです。原口さんはこれらのスキルをすべてマスターしていると思いますか?

はい、まさにその通りです。エンジニアとデザイナーは、一緒に働く必要があります。例えば、UX(ユーザー体験)デザイナーがウェブに使える新しい機能を見つけると、どのようにそれを実現することができるのかエンジニアに聞くことになります。当然ながら、エンジニアはデザイナーチームと連携を取り合いながら、その実現に向けて進めていかないといけません。しかし多くの場合、エンジニアは「これは難しすぎる」や、「無理そうだ」といった返事をしてしまいがちです。原口さんは素晴らしいコミュニケーション能力の持ち主です。もしその場に彼女がいたら、「確かに難しいでしょう。でも、これはユーザーのためには一番いいやり方のはず。どうすれば実現することができるか一緒に考えてみましょう」と言うでしょう。彼女は、エンジニアとして自分にできること、できないことで物事を判断するのではなく、最も大事なことが何かをきちんと見極めることができるのです。 

―――では、彼女の柔軟性やチームメイトへの気配りの影響力が大きいということでしょうか?

その通りです。 

―――彼女はどうしてそんなにインターナショナルな環境で働くことを重要視していたのでしょうか?

しばらく海外にいた経験があり、英語を使うことが彼女にとってとても大事である、という事が一つの理由だと思います。さらに、英語で会話をし、英語環境の中で働くことで、異なるバックグランドを持った様々な人たちと一緒に働くことができることも関係しているはずです。 

―――Paidyは、入社希望者に具体的にどのような知識や技術を求めていたのですか?

Paidyは、積極的で自分に自信があり、最新の知識を備えた人を採用しようとしていました。React.js(リアクトジェーエス)は、現在のマーケットでよく求められるスキルとなっています。日本で、React JSのスキルを持った人は少なく、ましてや日本の女性エンジニアでこのようなスキルを持ち合わせている人を見つけるのは更に難しいことなのです。日本人のエンジニアは、新しい技術を取り入れたいと思ってはいるものの、英語の記事や本を読むことができませんし、彼らの会社も新しい技術を使いたがらないのです。ところが、原口さんが希望したポジションに求められる必須技術スキルの一つにReactがありました。ReactはFacebookが最初に開発をし、テクノロジー業界ではずっと旬の話題となっているスキルですが、日本ではそれほどでもないのです。Paidyは、日本では珍しいReactを使った経験のあるエンジニアを採用しようとしていました。そのため、Code ChrysalisがReactを教えていてよかったと思います。(Code Chrysalisの上級フルタイムプログラムについてご紹介した第一弾はこちらからご覧ください。)つまり原口さんは、強力な技術スキルと、コミュニケーション能力の両方を持ち合わせていたということです。 

―――原口さんがPaidyからの最終的な内定を承諾するまでの間に、金子さんと原口さんが直面した問題などがあれば教えてください。

面接の過程ではあまり難しいことはありませんでした。しかし、彼女は沢山の内定をもらっていたので、どの企業を選ぶかが問題でした。Paidyよりも高い給与を提示してきた企業もありました。先ほども話した通り彼女はお金で動く人ではありませんが、転職の際に給与額は常に大事な検討項目となります。私たちは、彼女がなぜ今新たな職を探しているのか、また具体的に何を求めているのかを一緒に考えました。それを元に、どの企業が彼女にとってベストなのか決めていったのです。Paidyは、面談が終わるたびに彼女にとても詳細なフィードバックをしてくれました。最終面談を終えた時点で、Paidyは彼女が入社後1年程度でシニアレベルのエンジニアになる素質があると確信したのです。原口さんはそのようなフィードバックをもらえたことに感謝していましたし、私としても彼女のことをそれほどまでに評価してくれたことが嬉しかったです。原口さんは、Paidyのチームも、また同社の提供するサービスや製品のことも本当に気に入っています。彼女がオファーを受けることにしたとき、私に「他の会社からのオファーは断りましょう。Paidyで働きたいです!」と話してくれました。それが彼女の下した最終的な決断でした。

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原口さんがフロントエンドエンジニアとしてPaidyに採用されるまでのサクセスストーリー

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「創造性」と「チームワーク」を成長の鍵とする Paidy