世界の先端企業に選ばれるグローバル決済プラットフォーム Adyen の組織風土とは?(前編)
日本でも多種多様な決済サービスが群雄割拠の様相を呈し、キャッシュレス社会へと歩みを進めています。今回EQIQでインタビューさせていただいたのは、世界中の全販売チャネル向けの統合型プラットフォームを提供するAdyenにてアカウントマネージャーを務める、東隆三さんとインプリメンテーションマネージャーを務める岩尾伸也さん。
記事の前編では、Adyenのめざす世界観やその社風・組織文化の魅力を、そして後編では、お二人がやりがいを感じるポイントや今後のビジョンを中心にお聞きしました。
まずはAdyenのサービス内容について、初めて知る方に向けて教えて頂けますか。
Adyenは世界中の全販売チャネル向けの統合型プラットフォームを提供しています。店舗のPOS、Eコマース、不正利用防止および顧客データを完全にサポートする、決済のシングルプラットフォームです。私たちがめざすのは、すべての販売チャネルで一貫した体験を創造し、購入者の満足度を向上させることです。とりわけAdyenの特長は、決済不正利用防止機能を備えていること。そして、対応できる決済手段の数は他の競合他社に比べて群を抜いており、あらゆるグローバルな決済手段と、現地でよく使用される決済手段に対応できることです。
東さん、岩尾さんが携わっている業務を含めて、簡単に自己紹介をお願いいたします。
岩尾さん(以下敬称略):現在、技術的な観点からクライアント企業を支援する、インプリメンテーションマネージャーを務めています。店舗のPOS、Eコマース、そしてサブスクリプションサービスなど、クライアント企業のビジネスの形態はさまざまですが、決済プラットフォームに加盟するには、スムーズな「接続(インテグレーション)」が必要です。私たちが行うのは、クライアントが本当に必要な機能・範囲を見定めながら、インテグレーションにおける技術的な課題をサポートすること。これにより、シームレスな決済体験のためのユニファイドコマースの実現を可能にしています。
東さん(以下敬称略):私はアカウントマネージャーという立場で、クライアント企業がAdyenに契約した後のサポートやフォローにより、クライアント企業の価値提供の最大化を支援しています。これまではシンガポールに常駐し、日本へ月1で出張する生活でしたが、現在コロナ禍の間はzoomなどのオンラインツールを用いてクライアント企業との関係を築いています。今後は日本のマーケットでのシェア獲得に向けて、日本のクライアント企業開拓にますます注力することになっています。
Adyenのサイトでは世界各国のクライアント企業の事例が多数紹介されており、非常に興味深くお読みしました。Adyenの強みは何だとお考えですか?
岩尾:日本のペイメント事業ではさまざまな競合他社がひしめいていますが、それらと比較して、Adyenの強みは、世界のマーケットに進出したいと考える企業を支援できる点です。これまでグローバルでは、Facebook, Uber, Spotify, ebayといった世界のリーディングカンパニーがAdyenを選び、2020年9月時点で世界22か国に展開しています。日本国内での知名度はまだまだこれから高めなければいけませんが、グローバルスタンダードな機能をいちはやくリリースできるという点に魅力を感じ、Adyenを選んでくださる方は多いです。
この強みを可能にしているのは、私たちが大事にしている「マーチャント・ファースト(加盟店様優先)」という方針です。グローバルで提供できている質の高い体験価値を、日本のお客様にも届けたいという考えのもと、事業の体制や働き方が組み立てられています。たとえばサービスの開発スピードの速さも、この方針があってのこと。もちろん日本特有の商慣習や規制はありますが、それを尊重しつつ、マーチャント・ファーストをめざしています。
世界各国で一貫して「マーチャント・ファースト」を貫いているのは素晴らしいことだと思います。これを可能にしている文化や仕組みがあればぜひ知りたいです。
東:この「マーチャント・ファースト」を含めて、私たちは「Adyenフォーミュラ」という行動指針を掲げています。例としては、「私たちは文化や時間帯の枠を超えて、1つのチームとして仕事をします」「私たちはEメールの陰に隠れようとはせず、積極的に電話を受けます」といった内容です。
人材採用でも、Adyenの行動指針や価値観に共感している方かどうかを重視しています。従業員1000人以上と企業規模が拡大した現在でも、最終面接ではかならず役員が立ち会うという徹底ぶりです。決済事業というのは、実際に商品やサービスを購入する消費者にとっては、各社の差があまりわからないものです。だからこそ、いかに良い体験を生みだすか、サービスの細部にわたる工夫によって勝負する必要があり、そのベースとして行動指針に共感しているかどうかが非常に大事だと考えているのです。
採用でも「価値観が合うかどうか」を重視しているのですね。そんなAdyenの社風や文化について詳しく教えていただけますか。
東:社風はオープンそのものですね。「Adyenフォーミュラ」の1つに「私たちは、失礼にならない言い方で、率直に話します」という指針があります。そのため、役職などに関係なく、「マーチャント・ファースト」を実現するために、直接のコミュニケーションを大事にしています。また、色々な部門の枠を超えて、さまざまなメンバーでコーヒーブレイクをとり、そこでの対話から新たなアイディアが生まれていくことも多いですね。
岩尾:これは社内だけでなく、クライアント企業などあらゆるステークホルダーに対しても同様です。たとえば、セキュリティの問題。自社への攻撃を避けるために、脆弱性の問題についてすぐには公表しない企業が多いといえるでしょう。一方Adyenでは、クライアント企業にとって信頼できるパートナーであるために、「こういう課題があるかもしれないから、いまこうした対応策を練っています」といったことを、できるだけ早く率直にお話する方針をとっています。そうすれば、Adyen以外の決済プラットフォームを利用しているクライアントも、セキュリティ面の対策に乗り出すことができます。
松尾美里
日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター
Attunedのブログ記事作成を行う傍ら、株式会社フライヤーにて経営者、著者へのインタビューを行う。 現在、自身のライフミッションとして「キャリアインタビューサービス」の活動を行う。面白い生き方の実践者に話を聞き、その魅力を発信している。 また、70名の生き方をまとめたブログ「教育×キャリアインタビュー」の著者でもある。