「ガイドブックを超える体験」をめざすBebot開発の醍醐味とは?(後編)

「ガイドブックを超える体験」をコンセプトに、人工知能(AI)を搭載したチャットのコンシェルジュ「Bebot(ビーボット)」。このサービスを国内外で展開するのが株式会社ビースポーク(Bespoke)です。日本では1日あたり約35,000人以上が「Bebot」のユーザーとなっています。訪日外国人が増える現在、「AI」×「コンシェルジュ」の領域で国内外から高い評価を得ています。

今回インタビューの機会をいただいたのは、ソフトウェアエンジニアリングチームのヴァイスプレジデントを務めるクリス・ゲルファイダ(Christine Gerpheide)さん、シニアプロダクトマネジャーを務める河野麻子さんのお二人。ビースポークで働く醍醐味は何なのでしょうか? 前編では「Bebot」の特徴や観光・旅行業界へのインパクトについて、後編では仕事の醍醐味、「Bebot」の普及や発展によりどのような世界観の実現をめざしているのかについてお聞きしました。

(右)ソフトウェアエンジニアリングチームのヴァイスプレジデントのクリス・ゲルファイダさん (左)シニアプロダクトマネジャーの河野麻子さん

(右)ソフトウェアエンジニアリングチームのヴァイスプレジデントのクリス・ゲルファイダさん
(左)シニアプロダクトマネジャーの河野麻子さん

――お二人がいまのお仕事の醍醐味は何ですか。やりがいを感じる瞬間についてお聞きしたいです。

クリスさん:1つは、日々新しい技術にふれて、それを吸収できることです。もう1つは、自分たちのアクションの結果が、ユーザーの声や「Bebot」の普及度など、目に見えて反映されること。たとえば、訪日観光客からの反響です。トイレの使い方やWiFiのパスワードなど、その施設固有で、なかなかお店の人やフロントの人に聞きづらいことってありますよね。それらを「Bebot」を通じて質問し、解決できるというのが助かるという声を聞きます。「Bebot」上で“Thanks, Bebot!” といった書き込みがあることも。人の役に立っていることをリアルに感じられるのは、大きなやりがいです。
また、マネジャーの役割は、チームのメンバーが自分たちの希望する新しい技術を学べるよう促すこと。彼らが楽しみながら成長しているのを間近で見られるのも、この仕事の醍醐味です。

河野さん:この仕事の魅力は、UX(ユーザーエクスペリエンス)の全工程に関われることです。大企業ならば、会社から「この指標を上げるのがあなたの仕事」と決められることが多いでしょう。ですが、ビースポークでは、どの指標を高めればユーザーの満足度向上や会社の成長につながるかが明確に定義されていない分、その指標も自ら決定できます。そしてその指標を高めるための道のりを設計していくのがやりがいでもあります。これはスタートアップならではですね。
もちろん、ユーザーのニーズやエンジニアチーム、ビジネスサイドの意見などコンフリクトが生じることはあります。たとえば、「Bebot」をよく利用するユーザーにはニーズのある機能だが、初めて使う方にはそこまで訴求にならないかもしれないというように。こうしたときにどう優先順位をつけるべきか、各チームの意見をすり合わせつつ、より良い解を見つけ出していく。これは大変でもありつつ、仕事の醍醐味でもあると感じています。

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――ビースポークでいまの業務を行う上で、大事な資質やマインドセットは何だと思いますか。

クリスさん:1つ目は、「自分より優秀な人を採用し、彼らがより高みをめざせるよう育成する」という姿勢です。ビースポークでは、Webの開発から機械学習まで多様な領域の業務があります。そのため、各メンバーの興味分野やスキルアップをめざしている分野とマッチしたプロジェクトや業務にアサインできます。これが、彼らの成長やモチベーション向上の後押しになっているのではないでしょうか。また、優秀な人材の採用や育成のためには、マネジャーである自分自身がプロダクトに熱狂していること、それが周囲に伝わることが重要だと考えています。
2つ目は、周囲からのフィードバックや提案にオープンであることです。メンバーが気軽に意見を言えるような空気づくりは、日頃からかなり意識していますね。

河野さん:疑問点はどんどん社内のメンバーに聞いていくという姿勢は大切です。聞くことは決して恥ずかしいことではなく、slackなど他のメンバーも見えるところで質問すれば、他のメンバーの疑問解消やクリエイティブな発想にもつながっていくためです。また、ビースポークには各分野の専門家がそろっています。知りたいことがあれば気軽に質問し合って、助け合うカルチャーがあるのも、ビースポークの良いところですね。

――お二人の将来のビジョンを教えてください。

クリスさん:大事にし続けたいのは、人々の生活を良くサービスを開発し、届けていくことです。常に自身の専門性を高めながら、「Bebot」を改良し続けていく。これを通じて、旅行・観光業界での人々の経験をより良いものにしていきたいと考えています。
知らない国を旅行するときは、親切で頼もしい「地元の友人」が案内してくれたら、旅行が何倍も楽しくなりますよね。その地元感を、AIを使って一人ひとりのユーザーさんに届けたい、という強いビジョンがあります。

河野さん:現在チャットボット業界自体が成長の真っ只中であり、さまざまな企業が参入しています。ベストなUI(ユーザーインターフェイス)が定義されていない状況です。そうした状況だからこそ、「Bebot」の改善は、チャットボット業界全体の改善につながっていくと考えています。そうした想いのもとで、「Bebot」の改善や浸透を推し進めていくのが当面の目標です。

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松尾 美里

日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター

Wahl+Caseのブログ記事作成を行う傍ら、株式会社フライヤーにて経営者、著者へのインタビューを行う。

現在、自身のライフミッションとして「キャリアインタビューサービス」の活動を行う。面白い生き方の実践者に話を聞き、その魅力を発信している。

また、70名の生き方をまとめたブログ「教育×キャリアインタビュー」の著者でもある。