日本のスタートアップ文化

 
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世界では毎年、約135万のテクノロジー分野のスタートアップ企業が生まれている。そのような膨大な数になっている以上、誰もが人生で一度は、「スタートアップ」や「スタートアップ文化」という言葉を聞いたことがあるのではないだろうか?聞いたことがないという人は、おそらく数人しかいないだろう。

だが、皆さんは「スタートアップ」や「スタートアップ文化」の意味を実際に知っているだろうか?まずは、この二つの語を別個に定義することからはじめよう。スタートアップとは、製品またはサービスの開発や、拡張性のある経済モデルの構築を試みる起業家によって、新たに設立される企業のことである。この場合の「文化」とは、私たちが社会の中で観察できる社会的行動や規範のことを指している。言い換えれば、スタートアップ文化とは、起業家たちが構築するスタートアップの世界に見出すことができる、行動規範や行動様式のことだ。

1. スタートアップ文化

では、スタートアップ文化とは何か?スタートアップ文化は、以下のようないくつかの特性によって定義できる。

  • オープンなコミュニケーション

  • 人を第一とする考え方

  • チームワークへの強い思い

  • 前向きな態度

このほか、水平的なリーダーシップ構造や高度に適応力の高い環境といった側面も、一般的に見出される。

私たちがスタートアップ文化と正反対のものを考えるとき、企業文化が頭に浮かぶ。これは単純な一般化ではあるが、以下、両者が通常、どのように異なるかについて示してみる。

  • スタートアップ企業では、各構成メンバーの個性がより強く会社の文化に反映される

  • スタートアップ文化は、企業文化よりもずっとペースが速い傾向がある

  • スタートアップ企業で働く際には、一般的により大きな義務と責任の感覚が伴う。これは、従業員の数の少なさに起因する場合が多い。

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もちろん、これらの項目の内容は通例、それぞれのスタートアップ企業や会社によって異なる。しかし、両方の職場環境で働けば、その文化の差異を体験する可能性は高くなる。

多くの人は、スタートアップ文化が、大抵はスタートアップ企業の物理的環境の中に存在すると考えるかもしれない。その環境とは、最新のコーヒーメーカーのあるオープンオフィス、至る所にあるホワイトボード、そして非常にリラックスした雰囲気などである。そのことは、一部のスタートアップ企業には当てはまるかもしれないが、スタートアップ文化を形作る要素とはならない。

2. 日本におけるスタートアップ文化

Wahl+Caseに馴染みがない方に説明すると、私たちは東京に本社を置く国際的なテクノロジー系人材派遣会社であり、その多くの顧客がスタートアップ企業だ。一般的にスタートアップ文化は非常にグローバルになっているが、日本に固有の特性がいくつか存在する。日本のスタートアップ文化が、海外と比べてどう異なるのかを以下、示してみる。

まず、日本のスタートアップ文化は、最近になってようやく根付いたものだ。10年前には全くと言っていいほど存在せず、そのため銀行から融資を受けることが非常に難しく(今もなお難しい)、オフィスを賃借する余裕がまだない場合には必須となるコワーキングのスペースも、ほとんどなかった。また、関連するイベントや集まりはほとんど行われておらず、これも日本におけるスタートアップ文化を育てることには寄与しなかった。

だが、日本のスタートアップ文化は、海外に追い付いてきている。しかもひと工夫を加えた形で。そのひと工夫とは、日本の文化それ自体だ。日本の伝統や現状を捨て去ることは非常に難しいため、国際企業(スタートアップだけではない)は、日本市場になかなか適応できない場合がある。一方で、日本のスタートアップ企業も、概して国際化することに悪戦苦闘している。日本のスタートアップ企業が依然として、海外と比べると小規模になりがちであるため、日本のスタートアップ文化も競争力が弱くなっている。しかしながら、日本のスタートアップ企業は通常、より安定している。例えば、スタートアップ企業が創業から3年経ってもなお現存している割合は、米国では65.0%であるのに対し、日本では91.5%となっている。このことは、日本におけるスタートアップの環境が、より揺るぎないものになっていることを示している。

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また、日本では、少なくとも10億ドルの評価額を有する民間スタートアップ企業であるユニコーンスタートアップ企業が少ない。現在、こうした企業は米国では366社、中国では162社が存在するのに対し、日本では5社しか存在しない。世界第3位の経済大国にしては、これは非常に少ない数字だ。

スタートアップ文化に影響を与える別の重要な日本文化的要素としては、失敗に対する嫌悪がある。日本では一般的に、失敗とミスは大抵は悪いこととみなされ、失敗をしないことや、ミスを犯さないことに対する大きなプレッシャーがのしかかる。このことが結果として、新しいアイデアや新しいモデルを、あまり進んで取り入れようとしないという日本の文化にもつながっている。

要するに、スタートアップ文化を定義することは可能ではあるが、それはすべてのスタートアップ企業が正確に同じスタートアップ文化を有することを意味しないということだ。類似性はあるものの、企業文化と同様、スタートアップ企業はそれぞれ唯一無二の存在であり、独自の文化を持っているのだ。

日本におけるスタートアップ文化について言えば、スタートアップ文化を国内に根付かせようとする日本政府の努力は実を結びつつあるものの、まだ道のりは長い。皆さんが日本のスタートアップ文化の一部になることを目指しているのであれば、日本のビジネスエチケットはもちろんのこと、ある程度の日本語も確実に使いこなすべきだ。日本のスタートアップ企業では、英語は主要言語ではないからだ。

私は、この記事が、スタートアップ文化の理解に役立つことを願っている。そして、もし皆さんが日本のスタートアップ企業で勤務することに関心があるのであれば、ぜひ私たちにご一報いただきたい。いつでも喜んでお手伝いしようと思う。


 
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Faustine Verhaeghe
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