「DXの前にCXがある」、デジタルマーケティングで日本組織の変革を促すsembearの挑戦とは?(前編)

デジタルマーケティングの人材育成・教育事業、事業開発コンサル事業を手がけるsembear合同会社。デジタルマーケティングに関わるさまざまなステークホルダーを理解したうえで、「人材育成」「マーケティングサポート」「プラットフォーム提供」をワンストップで実施しています。

今回は、sembear合同会社の創業者でCEOを務める治田耕太郎さんと、共同創業者の有岡のぞみさんに、インタビューの機会をいただきました。前編では、日本組織の多くが抱えているデジタルマーケティングの課題とその原因について掘り下げます。そして後編では、その課題に対するソリューションとsembear合同会社の掲げるミッション・ビジョンをお聞きしていきます。

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治田耕太郎 | CEO, 創業者

 

有岡のぞみ | 共同創業者

 
 

 
 
まずはsembear合同会社を創業するまでの経緯を教えていただけますか。

治田耕太郎さん(以下、治田):これまで私は外資系デジタルマーケティング企業の要職を務めるかたわら、広告代理店の人材育成、特に競争力の根源となるコンサルタントの育成に携わってきました。広告代理店、事業主双方の立場を理解していくなかで、デジタルマーケティング戦略を成功させるには、広告代理店任せにせず、両者が対等なパートナーシップを持っていくことがカギになると痛感したのです。

そのためには、広告代理店、事業主双方がデジタルマーケティングの知識やスキルを高めていかないといけない。そんな課題意識を胸に、2012年から個人事業として活動していました。そして2020年には、大手化粧品会社でマーケティングの実務を担っていた有岡も参画し、sembear合同会社の創業に至りました。

 
新型コロナウイルスが流行して以来、DX、そしてデジタルマーケティングが日本でも進んできたといわれていますが、現状はどのようなものですか。

治田:私の主観をふくみますが、コロナ以前と以降で、デジタルマーケティングを推進してきた企業と、付け焼刃の対応に終始した企業との格差が大きく広がりましたね。前者の共通項は、「顧客のことを考え抜いている企業」であるという点です。ニューノーマルが広がるなかで、お客さまが何を望んでいるのか、自社はお客さまにどんな価値提供をするのか。これらの観点をもとに外部環境の変化に対応し続けようと行動してきた企業は、コロナという危機においても、今後につながる機会を見出しています。

よくクライアントさまにお伝えしているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)の前にCX(カスタマーエクスペリエンス)がある」という言葉です。自社サービスやプラットフォームの理想的な顧客体験を描いて、それをどうデリバーしていくか。こうした視点でDXやデジタルマーケティングの戦略を練ることが、これまで以上に重要になっています。

 
現在日本組織の多くでデジタルマーケティングがなかなか推進できていない原因は何でしょうか。

治田:それはデジタルマーケティング推進の人材が組織で不足していることです。なぜ不足しているのかというと、日本の組織に、「コンフォートゾーン(快適な領域)」の外に出ることへの抵抗感や変化を避けようとする保守的な風土が根づいてしまっているから。こうして組織の硬直化が起きてしまっているのです。

日本能率協会が行った「日本企業の経営課題2021」の調査によると、DXの取り組みは年々増加しており、「取り組みに対して成果が出ている」と答えた企業は全体の6割ほどだそうです。ところが実際には、約3分の2の企業がGoogle Analyticsすら充分に活用できていないといわれています。デジタルマーケティングに限っても、その正しいナレッジやノウハウが組織内に蓄積されず、活用されていないのが現状です。

このような環境では、変革を起こすことに前向きな人材の採用や育成が難しくなってしまいます。変化を好む専門的な人材を採用できても、既存の価値観にとらわれている組織では「異物(異質な人材)」として扱われてしまいますし、もともといるメンバーと話がかみ合わないのです。これでは新しい人材は力を発揮できず、他社へ転職してしまいます。

後編では、こうした状況を打破するために日本の組織はやるべきことをお聞きします!

 
 
 
 

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松尾美里

日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター

Attunedのブログ記事作成を行う傍ら、株式会社フライヤーにて経営者、著者へのインタビューを行う。 現在、自身のライフミッションとして「キャリアインタビューサービス」の活動を行う。面白い生き方の実践者に話を聞き、その魅力を発信している。 また、70名の生き方をまとめたブログ「教育×キャリアインタビュー」の著者でもある。